EC2 インスタンスタイプ【T2/M5/C5 料金・用途比較・選択基準】
EC2 インスタンスタイプの料金・ファミリー比較(T/M/C/R/I)。バースト性能、ライセンス互換性、試験での判断基準。
インスタンスタイプとは
EC2インスタンスを起動する際、CPU・メモリ・ストレージ・ネットワーク性能の組み合わせを「インスタンスタイプ」として選択します。アプリケーションの要件に合わせて適切なタイプを選ぶことが、パフォーマンスとコストの両立に不可欠です。
インスタンスタイプの命名規則
インスタンスタイプ名は「ファミリー+世代」と「サイズ」の組み合わせで表されます。
例えば t2.micro の場合:
| 部分 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| ファミリーと世代 | t2 | T系ファミリーの第2世代 |
| サイズ | micro | 最小構成(1 vCPU、1 GiBメモリ) |
サイズは nano < micro < small < medium < large < xlarge < 2xlarge ... と大きくなり、CPUやメモリもそれに比例して増加します。
vCPUの仕組み
EC2のスペック表でよく目にする「vCPU」は、物理CPUコアの中で動作するスレッドを1単位としてカウントしたものです。
たとえば物理コアが2個あり、各コアが2スレッドを処理できる場合、vCPU数は 4 となります。vCPUの数が多いほど、並列処理の能力が高くなります。
インスタンスファミリーの分類
ワークロードの特性に応じて、以下のファミリーから選択します。
汎用(General Purpose)
- 代表的なファミリー: T3, M5, A1
- 特徴: CPU・メモリ・ネットワークのリソースがバランスよく配分されている
- 適したワークロード: Webサーバー、コードリポジトリ、開発・テスト環境、小〜中規模のデータベース
- 補足: T系はバースト性能モデルを採用しており、負荷が低い時にCPUクレジットを蓄積し、必要な時にベースライン以上の性能を発揮できる
コンピューティング最適化(Compute Optimized)
- 代表的なファミリー: C5, C6g
- 特徴: 高クロック・高コア数のプロセッサを搭載し、CPU集約型の処理に強い
- 適したワークロード: バッチ処理、メディアトランスコード、高性能Webサーバー、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、科学計算、機械学習推論
メモリ最適化(Memory Optimized)
- 代表的なファミリー: R5, X1, z1d
- 特徴: メモリ容量が大きく、大規模データセットをインメモリで処理するワークロードに最適
- 適したワークロード: インメモリデータベース(SAP HANAなど)、リアルタイムビッグデータ分析、大規模キャッシュサーバー
ストレージ最適化(Storage Optimized)
- 代表的なファミリー: I3, D2, H1, I3en
- 特徴: ローカルストレージに対する高速な読み書き性能を提供
- 適したワークロード: データウェアハウス、分散ファイルシステム、大規模ログ処理、数万IOPSが必要なランダムI/Oアプリケーション
高速コンピューティング(Accelerated Computing)
- 代表的なファミリー: P3(GPU), Inf1(推論チップ), G4(GPU), F1(FPGA)
- 特徴: GPU・FPGA等のハードウェアアクセラレーターを搭載
- 適したワークロード: 機械学習トレーニング・推論、浮動小数点計算、グラフィックス処理、動画エンコーディング
物理ホスト対応のインスタンス
特定のコンプライアンス要件やライセンス要件がある場合、物理サーバーレベルの制御が可能なオプションを選択できます。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| ハードウェア専有インスタンス | 専用の物理ハードウェア上で動作するが、同一AWSアカウント内の他インスタンスとはハードウェアを共有する可能性がある |
| Dedicated Host | 物理サーバー全体を占有し、サーバーに紐付いた既存ソフトウェアライセンスを利用可能 |
| Bare Metal | 基盤となるサーバーのプロセッサとメモリに直接アクセスでき、OSがハードウェアに直接アクセスする |
インスタンスタイプ選定のポイント
- ワークロードのボトルネックを特定する: CPU・メモリ・ストレージ・ネットワークのどれがボトルネックかを把握し、対応するファミリーを選ぶ
- 最新世代を選ぶ: 同じファミリーでも新しい世代ほど価格性能比が良い(例:m5よりm6iが効率的)
- 適切なサイズから始める: CloudWatchやCompute Optimizerでリソース使用率をモニタリングし、必要に応じてサイズを変更する
- 無料利用枠を活用: 検証目的なら、無料枠対象のt2.microやt3.microから始める
Graviton(Arm)系ファミリー
AWS Graviton2/3 ベースの M6g、C6g、T4g などは Arm アーキテクチャです。料金性能がよい文脈で選ばれますが、アプリケーションが Arm 対応バイナリである必要があります。試験では「コスト削減で Graviton に載せ替えたい」というシナリオで、互換性確認が正解の一部になります。
T 系のバースト(試験のキーワード)
T3/T4g などは CPU クレジットでベースラインを超えるバーストを行います。長時間フル CPU が必要なワークロードには不向き、という誤答(T 系を常時フル稼働用途に選ぶ)が出やすいです。
📊 インスタンスタイプ別コスト比較(東京リージョン参考値)
注記: 以下は 2024 年時点のオンデマンド料金参考値です。正確な数字は AWS EC2 料金ページ で確認してください。
| タイプ | vCPU | メモリ | 月額(730 h) | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| t3.small | 2 | 2 GiB | $15~20 | 開発・テスト | CPU クレジット制、バースト可能 |
| t3.medium | 2 | 4 GiB | $25~30 | 低トラフィック Web | クレジット枯渇で性能低下 ⚠️ |
| m5.large | 2 | 8 GiB | $70~80 | 標準 Web/APP | 安定性重視、バースト不要 |
| m5.xlarge | 4 | 16 GiB | $140~160 | 中規模 APP | 汎用の次サイズ |
| c5.large | 2 | 4 GiB | $85~100 | CPU 集約(バッチ・ML) | M系より高性能、メモリ少ない |
| c5.xlarge | 4 | 8 GiB | $170~200 | 高性能 Web・API | M系と同等コスト、CPU 倍 |
| r5.large | 2 | 16 GiB | $150~170 | インメモリ DB | メモリ重視(キャッシュ・検索) |
試験出題ポイント
Q: コスト削減のため、t3.medium → m5.medium に変更したい。起こりうる問題は?
- 答え:月額コスト増加(t3: $25 → m5: $70)
- CPU クレジット制度の誤解:T系は「安い」ではなく「低トラフィック向け」
Q: 24/7 フル稼働の Web サーバーに T3 を選んだが、夜間に性能低下する。対応は?
- 答え:T系は不適切 → M系(m5/m6i)に変更
- クレジット不足で throttle される
🔄 同ファミリー・世代での比較(サイズの選び方)
例:m5 ファミリー
| サイズ | vCPU | メモリ | 実測価格 | メモリ/vCPU |
|---|---|---|---|---|
| m5.large | 2 | 8 | $70 | 4 GiB |
| m5.xlarge | 4 | 16 | $140 | 4 GiB(同比率) |
| m5.2xlarge | 8 | 32 | $280 | 4 GiB(同比率) |
試験ポイント:スケーリング比が線形 → スケール時の予測可能性が高い
⚖️ T 系 vs M 系の選択マトリックス(試験頻出)
| シナリオ | 選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 開発・テスト環境(使用頻度低) | T3 | コスト最小化 |
| 低トラフィック Web(突発的ピーク許容) | T3 | クレジットでカバー |
| 安定 SaaS アプリ(24/7 稼働) | M5/M6i | クレジット枯渇回避 |
| バッチ処理(CPU 集約、時間制限あり) | C5 | CPU 性能重視、コスト効率 |
| キャッシュ層・インメモリ DB | R5 | メモリ重視 |
よくある誤答パターン(SAA)
| 誤答になりやすい文 | 正しい読み方の方向 |
|---|---|
| 「メモリ不足なので C 系にする」 | メモリ最適化(R/X 系)やサイズアップ |
| 「ディスク I/O だけ不足なので インスタンスタイプを最大に」 | EBS のタイプ/IOPS やアプリ設計も検討 |
| 「Dedicated Host は常に最安」 | ライセンス・コンプライアンスが主目的のことが多い |
| 「コスト削減で T2 → T3 に変更」 | 両方とも CPU クレジット制。単なる世代更新、クレジット余剰なら効果薄い |
| 「常時フル稼働サーバーに T3 を選んだ」 | T 系は低トラフィック向け → M 系に変更必須 |
公式ドキュメント(深掘り)
重要ポイント
- ▸インスタンスタイプ = ファミリー(用途別)+ 世代(最新優先)+ サイズ(vCPU/メモリ)
- ▸汎用(T/M系)= バランス型、Web サーバー・開発環境
- ▸コンピューティング最適化(C系)= CPU 集約、バッチ・ML 推論
- ▸メモリ最適化(R/X系)= インメモリ DB、リアルタイム分析
- ▸T3/T4g は CPU クレジット制 — 常時フル稼働には不向き
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